更新日: 2021年2月16日
夏のボーナスが出たころ、お世話になった方に贈り物をする「お中元」は、昔ながらの日本の風習ですが、
そもそも、なぜこの時期に贈り物をするのでしょうか?
起源は、海の向こう中国からと言われています。
中国では、1月15日を”上元”、7月15日を”中元”、10月15日を”下元”といい、これらを”三元”と称していました。
道教の「三官信仰」にある「この日に神を祀ってもてなしをすれば罪が許される」との謂れから
それぞれの日に供え物をして身の穢(けが)れを清める習わしとして根づいていました。
この”中元”だけが日本に伝わった際、仏教のお盆と重なったことが起源とされ、
更にお供え物を持ち寄った風習とあわさり「中元贈答」の習慣ができたといわれています。
本来ならば7月15日を指す”中元”ですが、日本における中元贈答の時期には地域差があります。
年中行事を旧暦で行う地方もあるので、平均からひとつきほど遅れた8月に贈るところもあります。
一般的に、首都圏では6月の下旬から7月15日頃までがお中元時期とされています。
ちょうど一年の半ばにあたる時期。
さて、お中元の基礎知識がついたところで、よくある疑問を解消しておきましょう。
Q1 贈る時期を過ぎてしまったら?
−A 時期に沿った表書きを使用すれば贈答することができます。
一般的に、首都圏では6月の下旬から7月15日頃までがお中元時期とされています。
以降は7月16日~立秋(8月8日ごろ)までなら「暑中御見舞」「暑中御伺い」のかけ紙をかけて送りましょう。
それ以降、8月の末までは「残暑御見舞」「残暑御伺い」が適しています。
Q2 喪中でも贈ってかまわないの?
−A かまいません。
喪中でも贈ってかまいません。ただし忌明け前(四十九日前)であれば、忌明け後に贈ります。
忌明け後まで待つと時期が過ぎてしまうときは、お中元であれば「暑中御見舞」、お歳暮であれば年が明けて、
松の内(1月7日)が過ぎてから届くように、「寒中御見舞」として贈ります。
と、あるように、お中元やお歳暮はあくまでお祝いではなく感謝の気持ちを伝えるご挨拶。
自身や先方の喪中に関わらず贈答して問題はありません。
しかし引用にあるように、忌明けを待ち、適した表書きで礼節をたもちましょう。
Q3 お中元をもらったらお返しが必要?
−A 不要。ですが、受取りから3日以内にお礼状を出すのがマナー。
食べ物であれば「美味しかった」などの感想も述べると感謝が伝わりやすいですね。
Q4 都内から地方への贈答。贈る時期は地域に合わせるべき?
−A Q1で述べたように全国的にも首都圏はお中元贈答時期が一番早い地域です。
首都圏の場合、お中元を6月下旬に贈る方もいますが、
地方へは時期が重なる7月上旬~15日頃に贈るのが無難です。
とあるように、一般的に時期が重なる時期に贈るのが失礼がなくベターです。
せっかくの感謝の気持ちを伝える贈り物。
自身も先方も気持ちよく贈答・受取りができるよう最低限のマナーを守りましょう。
【参考文献】
■ 株式会社三越(C) (2004)『日本を楽しむ年中行事』かんき出版
■ 株式会社高島屋(2015)『高島屋のしきたり辞典:老舗百貨店の門外不出「贈答・おつきあい」教本』小学館
■ 柚木啓子(1997)『しきたりって?:神戸大丸がおこたえする贈答のあれこれ』日光出版
■ 岩下宣子(1996)『慶弔・表書きマナーの手帳』小学館
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