更新日： 2024年10月29日
神戸市の「旧ハッサム住宅」は、インド系イギリス人である貿易商のハッサム氏によって、明治35年に自邸として建てられました。神戸市灘区の王子動物園内にある「ハンター邸」や神戸北野異人館街の「風見鶏の館（旧トーマス住宅）」と同じく国の重要文化財として指定されています。「旧ハッサム住宅」はかつて中央区北野町の高台、現在のラインの館の北側にありましたが、昭和36年、当時の所有者であった神戸回教寺院より神戸市に寄贈され、昭和38年に日本庭園「相楽園」の一角に移築されました。
「相楽園」とは、神戸市の都市公園で唯一の日本庭園であり、明治18年頃から築造され明治末期に完成しました。昭和16年以降に神戸市の所有となり、「相楽園」の名は中国の古書『易経』の一節にある「和悦相楽（わしてよろこびあいたのしむ）」に由来するそうです。平成18年1月26日に国の登録記念物に登録されています。
19,566m2の広大な敷地に造られた池泉回遊式（ちせんかいゆうしき）の日本庭園では、飛石や石橋を渡りながら、深山幽谷（しんざんゆうこく）の中で四季折々の風景を楽しむことができます。春に咲くツツジの花やモミジの紅葉も見事です。
「旧ハッサム住宅」のほかにも、重厚な正門と欧風写真の旧小寺家厩舎、保存のために移築された船屋形、茶室浣心亭（かんしんてい）が日本庭園の景観と調和しています。
例年、「相楽園」で開催される春の「つつじ遊山」と秋の「菊花展」の時期にあわせ、「旧ハッサム住宅」内部が一般公開されています。また2023年は、夏に開催される「にわのあかり」の時期には夜間特別公開も行われました。
「旧ハッサム邸」は、シュエケ邸や門邸など神戸で数々の洋館を手掛けた英国人Ａ.N.ハンセル氏の設計といわれ、入口の大きなアーチと2階の窓の連なる広いベランダが美しい姿をしているとされます。1階はアーケード式（アーチを連ねた形）、2階はコロネード式（列柱式）で、ベランダの柱頭部には建築物によく見られる「アカンサス」の葉をかたどった柱頭飾りが付いており大きな特徴の一つとなっています。
玄関を入ると中央部に階段を含む小ホールと廊下があり、中央廊下を挟んで左右に部屋があります。1階には接客を兼ねたオフィシャルスペースとして食堂や応接室、居間が配置され、2階には家族の生活の場としてのプライベート空間にあたる寝室や浴室、化粧部屋などが配置されています。それぞれの調度品の豪華さはもちろん、柱や壁、家具に施された趣のあるデザインに魅了されます。また前庭の2本のガス灯は、明治７年頃旧外国人居留地に建てられていたものだそうです。日本でも非常に早い時期の街灯用ガス灯ですが、現在は電灯に改造されています。
1995年（平成7年）1月17日の阪神・淡路大震災では、主屋の壁には亀裂が入り、レンガ積みの煙突が室内に落下し、屋根や天井、床も破損しましたが、その後復旧されました。配膳室に落下した煙突のみ、震災の記憶を後世にとどめることを目的として今も前庭に展示しています。
「相楽園」は人気の写真撮影スポットでもあるので、洋館を背景に写真を撮ってSNSに投稿すれば秋の素敵な想い出になりそう。
この秋は紅葉や菊の花に彩られた日本庭園「相楽園」を訪れて、季節のイベントを楽しみながら、見事に“和”と調和する洋館「旧ハッサム邸」の貴重な美しさに触れてみてはいかがでしょうか。
■開催日時
開催日：公式HPにてご確認ください。
開催時間：9：00～16：30（最終入館時間：16：00）
※緊急事態宣言等で相楽園が休園となった場合は、公開中止となります。
■開催場所
神戸市立相楽園
〒650-0004 兵庫県神戸市中央区中山手通５丁目３−１
■アクセス
神戸市営地下鉄西神・山手線：県庁前駅から北側へ徒歩5分
神戸高速鉄道東西線：花隈駅から北東側へ徒歩15分
JR神戸線：元町駅または阪神電鉄：元町駅から北西側へ徒歩10分
専用駐車場はありません。付近に一般のコインパーキングはありますが、少なめです。
■料金(相楽園の入園料のみ)
相楽園の入園料が必要です。
※相楽園に入園すれば、同じ敷地内にあるハッサム邸への入館が可能となります。
《相楽園入園料》
※団体割引あり。詳しくは公式HPにてご確認下さい。
大人（15歳以上）：300円
兵庫県内に居住し65歳以上の方で公的機関が発行する証明書をお持ちの方は無料です。
※公的機関が発行する証明書とは、老人手帳・運転免許証・マイナンバーカード・健康保険証などです。
小人（小・中学生）：150円
※のびのびパスポート提示の方は無料です。
■お問い合わせ先
神戸市立相楽園
TEL：078-351-5155
■公式サイト
神戸市ホームページ 国指定重要文化財「旧ハッサム住宅」
相楽園ホームページ
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